小波(これで・・・これで決めるぅぅぅ!!!) 小波は、今もてる最大限の力を振り絞り、全身全霊の力を込めたボールを繰り出した。 小波(見守ってくれ!!秀人さん!!) ギュルルルルル海堂(インハイのストレート・・・これを待ってたんだ!!)海堂は完璧なタイミングでボールを迎え撃つ。 海堂(もらったぁ!!!・・・・・・・えぇっ!?) ズバァァァァァァン神崎「ストライークバッターアウッ!」ボールは、神童のミットの中にがっちりと収まった。 膝をつき、呆然と神童のミットに収まったボールを見つめる海堂・・・。 完璧に捕らえたはずだったのだ。海堂のイメージでは、ライトスタンドへ運んでいるはずだったのだ。 一方、マウンド上には渾身のガッツポーズを決める小波の姿があった。 小波(やりましたよ。秀人さん・・・今の三振は貴方のお陰です・・・。) その後、2死満塁のピンチは続くものの完璧に立ち直った小波の前に藤堂は3球三振にされてしまう。 小波は、ベンチに颯爽と戻ると、対海堂の時のことを思い出していた・・・。 小波(よかった・・・。秀人さんに教えてもらわなかったらいかれてたな・・・。) 一方、センターの守備につきながら、海堂も対小波のことを思い出していた。 海堂 (完璧に捕らえたはずだったのに・・・バットにミートする瞬間ホップしたように見えた・・・) 話は、昨夜に戻る・・・・ 秀人「今日は・・・君の持ち味のストレートの改良から始めてみようか。」 突然の言葉に呆然とする小波。変化球を教えてくれるのではなかったのか・・・・。 秀人「今の君には変化球はまだ早い。試合は明日なのだから、今できる最大限の努力をしよう。」 そう言われ、何百・・・何千球とひたすら投球を重ねた。 小波「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」 ギュルルルルルグォォッ小波(う・・・浮いた!?)ズバァァァァァァン秀人「いってぇ!!!」秀人はあまりの激痛にミットを振り飛ばした。 手は赤くはれ上がり、ミットも糸が切れてしまっていた。さらには、焦げ臭い匂いも放っている・・・。 小波は、今の投球にただただ驚くだけだった・・・。信じられなくて、思わず自分の手を見てしまう。 小波の手は、ブルブルと震えていた・・・。手も、信じられないといった感じなのだろう。 秀人「よくやった!今の球が、君に教えたかった球だ。」 そう言われ、ようやく信じることができた小波は、嬉しさを爆発させた。 小躍りを踊りだし、大声で叫びまくる。周りの家々の電気が灯りだしたので、慌てて叫ぶのはやめたが・・・。 小波「今の・・・今のこの球の名前はなんなんですか!?」 秀人 「ジャイロボールと言われる球種だ。だけど、僕がアレンジしたものだから、オリジナルボールだな。」 ジャイロボール・・・それは、プロ野球ではもちろん。メジャーですら投げられる選手は少ない。 小波は、再び感激に浸った。プロですら困難な球を自分のものにできた。 ただでさえ早いストレートの小波にジャイロボール・・・。まさに、鬼に金棒である。 秀人「その球に名前を付けてみたらどうだい?」 小波「名前・・・」 そして、10分近くじっくりと考えて生まれた小波のオリジナルストレート・・・。 河上「6番 ピッチャー 小波くん」 突然アナウンスされた。どうやら小波の打順らしい・・・。 場面は2アウト満塁。先ほど小波が抑えたものとまったく同じシチュエーションだ。 河上が飛びっきりの笑顔でこちらに微笑みかけている。 俺はそれに答えるかのように、Vサインを出した・・・・。 神崎「今日はお疲れ様。明日は部活は休みだ。ゆっくり休養をとっておけ。以上。」 そして、俺達は各自解散を始めた。 帰り支度も終え、校門から出た小波は足を止め、いまだに手に残るあの感触をかみ締めた・・・。 そして、小さな小さなガッツポーズを決めるのであった・・・・。
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