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第3話【目標】


あのあと、俺はなぜか河上を避けるようになっていった。
小向などと一緒にいると、普通に楽しく会話できるのだが、2人きりになるとそうもいかない。
しかし、鈍感だった俺はそうなってしまった理由になどまったく気づくこともなかった。


そんな生活が約2ヶ月続いた。
この日も、授業などはテキトーに受け、俺は部活に精を出していた。
俺がこの聖都高校野球部で俺が最も尊敬し、最大のライバルとなっている人物がいる。
その名は、3年生の海堂 翼(かいどう つばさ)先輩だ。
彼は、複数の球団のスカウトも注目している逸材だ。
なぜならば、ミート力は抜群でホームランも狙える。さらには肩も守備もプロレベルだ。
しかも、海堂先輩には絶対的な武器である足がある。彼の盗塁を刺したものは過去にはいない。
俺は、他の先輩ならば大体6割以上の確率で討ち取ることができるのだが、この先輩だけは別格だ。
俺対海堂先輩・・・通算成績は8割を超える確率で打たれている。
俺は、さらなる成長を望んだ。
そこで、まずは聖都高校の天才バッターである海堂先輩を打ち取ることに全力を注ぐことにした。
そして、俺が基本的に関わりたくない先輩もいる。
その先輩は、和田 貴史(わだ たかふみ)先輩だ。
2年生ながら、県では「左腕のエース和田」といわれる先輩だ。
140キロを超えるストレート。さらには、鋭い変化で曲がる、決め球のシュートボール・・・。
さらに持ち球も豊富で、スライダー・カーブ・スクリューと大体は投げられる。
スタミナもあり、コントロールも県ではトップクラスだ。
だが・・・かなり女癖が悪いのが大きな傷だ。
いい風に言えば、ルックスも抜群なのだが・・・。今の先輩の狙いは誰の目から見ても明らかである。
その先輩の狙いとなっているのが河上である。
先輩からしてみれば、河上と仲のいい俺が気に入らないのだろう。
ことあるごとに俺に対して文句を言ってくる。正直負けたくない存在だ。
こうして、俺はこの2人にだけは負けない。そういう思いを持って、懸命に部活に取り組んだ。


そして、さらに1週間後の金曜日・・・。神崎から思いもかけない提案が出された。
神崎「明日の休日は・・・午後2時より紅白戦を行う!!」
一堂騒然となる。もちろん先輩たちもだ。こんなこと、聖都高校では初の試みだろう。
神崎「静まれ。ここ数年県大会決勝で騎城高校に負け、甲子園を奪われている・・・。」
昨年の決勝は、終盤に当時からエースの和田先輩が打線に捕まり、逆転を許して敗退してしまっている。
神崎「今年から奪還するための試合だ。年齢は関係ない。全員がレギュラー候補だ!」
またもや一同騒然となる。1年生にしてレギュラーチャンスが訪れたのだ。俺も嬉しかった。


俺は、はやる気持ちを抑えきれずにいた。家に帰ってからも気が気でなかった。
いつもは大好きなゲームも、テレビもやる気にも見る気にもなれなかった。
気がついたら俺は近所の公園にいた。
手には、ボールとグローブを持っている。はやる気持ちを抑えきれずに壁当て練習を始めた。
壁当てをして、10分くらいたったであろうか・・・。俺は早くも汗だくだった。
帰ろうかと思ったそのとき、どこからか視線を感じた・・・。




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